IFRS適用でシステムに影響がありそうな細かいこと(システム営業さん向け)

ビジュアルIFRS(国際会計基準)の基本

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著者:飯塚隆
価格:1,050円(税込、送料込)
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上記本を読んだ。
IFRS適用でシステムに影響がありそうなことがたくさんあると感じたのでメモ。
もしかしたらシステム営業さんが読んだら提案のネタになるかも。

・投資(賃貸等)不動産の時価評価
これまでも行われてきたことだが、
時価評価すべき不動産の領域が大幅に広がるようだ。
→ 不動産をたくさん持ってる会社は評価替えの仕訳の数がかなり増えるので、これまではハンド入力していた評価替えの仕訳をシステム化したい会社があるかも?

・オペレーティングリース資産のオンバランス化
これまでの日本でもファイナンスリースはオンバランス化されているが、
その考え方が拡大し、オペレーティングリースも同様の処理をする必要がある。
→ 固定資産管理システム内の大量のデータコンバート作業でお金を取れるかも?

・将来の資産処分費用は現在の負債
例えば、テレビを捨てる時に処理費用を払わなければいけないように、
資産を捨てる時に費用がかかることが想定される場合は、処理費用を、その資産取得時に負債計上しなければならない。
→ 固定資産管理システムで、新たにこの情報を管理したいというニーズがあるかも?

・負債となる有給休暇
期中に取得されるであろう有給休暇の分の人件費を負債計上する必要がある。
→ 人事・労務系のシステムから会計システムへデータ連動するニーズがあるかも?
  人労系のシステムから会計系のシステムへデータ連動することってあまりないと思うので、ちょっと面白い。

・在庫リスクを負わない商売の場合、「売上」と「原価」を計上するのではなく、純利益の額だけを計上しなければならない。
例えば自販機等に多いと思うが、売上げたと同時に仕入を行う形式の契約になっている場合、
在庫リスクを負っていないので、差し引きの利益の額を「売上」として計上しなければならない。
例えば、従来は「売上100円、仕入80円」と認識していたのを、「売上20円、仕入ゼロ円」と認識しなければならないということ。
→ 営業系システムから会計系システムへ計上する際に切る仕訳の形が変わる可能性がある。

・売上計上のタイミングが、出荷基準から着荷基準へ。
工場から出荷した時点で売上を立てていたのを、お客さんの手元に着いたタイミングで計上しなければならない。
現状でも金額が大きな売買だと「顧客の検収が済んだ時点で売上が立つ」という考え方はあるが、それが小売業とかでも適用されようになるということ、だと思う。
→ 営業系システムの改修の必要があるかも?あと、お客さんの手元に届いたというのをどう判断するのか。通販事業者なんかはものすごく大変かも。

・過年度財務諸表の修正の必要あり。
例えば2015年度からIFRSに対応する、とした場合、2013年と2014年の財務諸表もIFRSの考え方に基づいた財務諸表に作り替えて公表する必要がある。
→ とにかく大変。切り直す仕訳が大量に出てくると思われるので、自動化できるところはシステムでコンバートできるように提案できそう。

・事業売却時の過年度修正。
事業を売却する場合、過年度の財務諸表を、その事業が無かったものとして作り直さなければならない。
→ 上記のIFRS適用時と同じような感じ。頻繁に発生するとは思えないが、万一発生するとものすごく大変な作業になると思われるので、できるところはシステム化しておきたいと考える会社は多そう。

その他の所感
・「投資(賃貸等)不動産の時価評価の拡大」について
 不動産の時価評価は非常にコストがかかる。
 1物件の評価に100万円~200万円程度払って外部業者に評価してもらうのが普通(だと思う)なので、
 賃貸不動産経営が主な収益の柱になっている会社は大損害かもしれない。
 だから、保有物件数(簿価の大きさではなく物件数)が多い会社の株を空売りしとくと儲けられるかも?(私はやりませんが)

以上。

なお、最初にも書いたがこの記事は下記の本を読んだだけで書いた。
何も知らない人がIFRSの勉強の第一歩として読むにはとても良い本だと思う。
1,050円と安いし、新書なので通勤電車の中で読みやすいし、良いことづくめ。

ビジュアルIFRS(国際会計基準)の基本

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