ライブドア事件三部作（と勝手に私は呼んでいる）と、私なりの理解

ホリエモン（堀江貴文氏）の実刑がほぼ確定したようだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110426-00000045-jij-soci
ライブドア事件の本はいくつかあるが、以下の３冊が主なものだと思う。

まず、ホリエモン自身がライブドア事件について書いた本。

徹底抗戦 著者：堀江貴文 価格：450円（税込、送料込） 楽天ブックスで詳細を見る

次に、ライブドアの会計監査をした会計士がライブドア事件について書いた本。

ライブドア監査人の告白 著者：田中慎一 価格：1,680円（税込、送料込） 楽天ブックスで詳細を見る

そして、最後に「粉飾」の具体的なスキームを作った宮内氏が書いた本。

虚構 著者：宮内亮治 価格：1,575円（税込、送料込） 楽天ブックスで詳細を見る

この３冊を読んだが、結局のところ私はこう理解した。

・ホリエモンは「利益出せ！！」と宮内氏を激しく叱責した。
・宮内氏は、ホリエモンの叱責を受け、「粉飾」のスキームを作り、実行した。
・「粉飾」の内容は、「明らかに違法」とは言えない取引であり、会計監査も通っている。
　監査に携わった会計士は、上記「粉飾」の取引について適正と認めるか否か思い悩んでいる姿を本に書いている。

結局のところ、ホリエモンが直接的にやった「悪いこと」というのは、役員である宮内氏を強く叱責したということだけであり、
優しいとは言えないが、取締役に対しての態度としては、少なくとも違法性は帯びないと思う。
また、上記３つの本の真ん中の本を書いた、会計士の田中慎一氏は、本の中で
「ホリエモンが宮内氏を追い詰めたから宮内氏は“粉飾”のスキームを作り実行した。
　ホリエモンはスキームを理解していなかったけど、
　宮内氏を追い詰めたのはホリエモンだから、一番悪いのはホリエモンだ。」
という意味のことを書いている。
ホリエモンが一番悪いとは書いているが、ホリエモンと対立関係のある田中氏でさえ、上記の通り「ホリエモンは全体のスキームを理解していなかった」と書いている。

そして宮内氏が「粉飾」のスキームを作り、実行した。
宮内氏は、多少グレーだと感じつつも、「明らかな違法性」は無いと思い、
「プロの会計監査できっちり監査してもらえば良い」と考えた。

監査に携わった会計士は、悩みながらも問題ないとの監査結果を出した。

これで実刑というのは行き過ぎで、
普通に修正申告すればよくて（株価は下がるだろうがそれは株主責任で良いだろう）、
精々罰金で終わりじゃないの？というのが私の印象。

また、いろんなところで論じられているところだが、
明らかに意図的な粉飾決算をしていた日興コーディアル証券の粉飾決算事件とのバランスが取れていないと思う。
日興コーディアルの利益水増し額は180億円で、会社として罰金を払っただけだ。
役員等の個人への処罰は無い。
対してライブドアの“水増し額”は53億4700万円で、社長個人に対し懲役２年６カ月がもうすぐ確定することになる。
ライブドアが本当に粉飾決算していたとしても、罰のバランスとしてちょっとおかしい。

監査法人が適正と認めている決算なのだから、後からおかしいと言って実刑を課すのはやり過ぎだ。
監査法人とホリエモンと宮内氏がグルだったのなら話は別だが、
この３者は対立しながら、つまり正しく牽制機能を発揮しつつこの事件は動いていたわけだ。

まあ、会社の利益を追及するあまり強く叱責されるのだろうからホリエモンのすぐ下で働きたくは無いなとは思うが、
役員レベルの人たちならばそうやってやり合うのはある程度普通のことだと思う。
宮内氏は、それが嫌ならグレーだと感じつつ特殊なスキームなど作らずに、ライブドアを辞めれば良かったと思う。
役員ならそういう覚悟はしつつ働くべきだと思うし、能力のある人なのだから、引く手は数多だったはずだ。
もしくは、株主総会にかけてホリエモン解任議案を出すとか。

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虚構 著者：宮内亮治 価格：1,575円（税込、送料込） 楽天ブックスで詳細を見る

以上。