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ガソリンスタンドの典型的な取引について記述する。
ガソリンという商品はかなりコモディティー化している(差別化が難しくなっている)商品であり、
少ない利幅を確保するためにさまざまな工夫が見られる。
また、複数の税金も絡み、一般に会計的には面倒な処理になる。

・全体の流れ
ガソリンは、元売→ガソリンスタンド→一般客、という流れで販売される。
この流れそのものは普通の小売業と同じだが、売り方に独特なところがある。
それを以下で説明する。

・仕入
まず、ガソリンスタンドは、ガソリンを仕入れる。
例えば100リットルを1万円で仕入れたとする。

・通常のお客さん
通常のお客さんに給油して、50リットルを1リットル150円で売った。
この取引は普通の、モノを売り買いする取引。

・フリートカードのお客さん
ガソリンスタンドのお客さんの中には、「フリートカード」と呼ばれるカード(クレジットカードのようなものだ)で支払いをするお客さんもいる。
「フリートカード」は、元売会社(例えば「出光」など)が発行しているカードであり、
この場合は、ガソリンの売主は元売会社で、現場のガソリンスタンドは給油の手間賃(1リットルあたり5円程度)のみを受け取る形になる。
給油した分のガソリンは、ガソリンスタンドから元売り会社が買い戻した形になる。

このようにフリートカードのお客さんに50リットルを1リットル150円で売ったとすると、
その50リットルのガソリンは、ガソリンスタンドから元売り業者が買い戻し、
元売り業者から、フリートカードのお客さんに売った、という処理になる。

— ここまでについての仕訳 —
               燃油仕入の仕訳
(借方)燃油仕入     10,000 (貸方)買掛金      10,000
     ↑100リットル仕入れた
    買掛金       5,000     燃油仕入(戻し)  5,000
     ↑フリートカードの50リットル分を戻した

               燃油売上の仕訳
(借方)現金         7,500 (貸方)売上         7,500
     ↑現金売り上げの分
    未収入金(元売向け)  250     手数料収入       250
     ↑フリートカード売上の分。手数料収入の5円/リットル*50リットル。

・軽油取引に係る軽油引取税
上記の仕入れの仕訳は大雑把なもので、正確ではない。
軽油取引に係る軽油引取税と消費税の関係について明示すると、話は少し面倒になる。

軽油には「軽油引取税」が、1リットルあたり32.1円課税される。
これは、ガソリンスタンドにとっては、仕入れる時に元売り業者に商品代金として支払い、
一般消費者に販売する際には商品代金として貰うので、基本的にはプラマイゼロで、直接的には複雑な取引ではない。

しかし、ここに消費税が登場すると面倒になる。
軽油の値段は、大きく分けて軽油本体の金額と軽油引取税の金額に区別できるが(※本当は石油税が2.04円かかるが簡単のためにここでは無視する)、
– 仕入れる時には、消費税は軽油本体金額のみにかかる。
– 元売りの委託販売ではない販売形式で一般消費者に販売する際には、消費税は軽油本体金額のみにかかる。
– 元売りの委託販売として一般消費者に販売する際には、手数料収入のみに消費税がかかる。
という感じに、場合分けして消費税を計算する必要がある。

・ガソリン欠損補助
ガソリンは揮発油なので、当然揮発し、日数が経過していくにつれて、何もしなくても在庫量が少なくなっていく。
一般的に、揮発分については元売業者が泥をかぶり、買掛金を減らしてくれる。

(借方)買掛金        10,000 (貸方)仕入戻し(欠損補助) 10,000

金額が大きい取引としては概ねこんなところだが、
上記で記述を控えた「石油税」とか、欠損補助分の軽油引取税・消費税の扱い等、面倒なことが他にも色々ある。

このように面倒な取引が多いガソリンスタンド経営なので、
その仕訳を詳細に記述している本を探してみたが、見つけることが出来なかった。
強いて言えば下記の本が参考になる。

これが石油産業の全貌だ!

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著者:日本エネルギー経済研究所
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この本は経理の本ではないが、石油業界の登場人物や商売のスキームについて詳しく解説してあり、
これを読んだ上でじっくりと仕訳を考えると、だいぶマシだろう。

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