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気が向いたので、開発型SPCについてもド素人の私が書く。
なお、このページは SPCとはどんなものか の知識を前提として書くので、
良く知らない人はそっちから読んで下さい。

ある不動産開発会社(いわゆるデベロッパー)D社があったとする。
このD社の業績は良いものの、多くの融資を受けているため
自己資本比率は低く、銀行からの借入金の利率は高い。

D社は、良い立地の土地Aを見つけたので、そこにビルを立てて売ろうと考えた。
D社は、自分の資金30億円を使ってその土地Aを買いたい。
そこにビルを立てるには更に70億円かかるが十分な資金を持っていなかった。

銀行から融資してもらおうとしたが、かなり高い利率を提示された。
そこで、SPCを使うことにした。
まずD社は、自己資金30億円で土地Aを買う。

次にD社は、土地Aについて様々なことを調べる。
例えば、土壌汚染が無いか、とか、
高層ビルを建てるために十分な地盤の強さがあるか、とか、
ここにどんな店を立てるとどのくらいの収益を上げられるか、の統計的な予測とか、である。

そして、その土地Aに立てるビルとして、収益予測を含めたプランを固める。
例えば、
「40階建ての高層ビルAを建てる。
 このビルを建てるには70億円かかる。
 1階~3階は飲食店のテナントを募集し、
 4階~40階まではファミリー向け住居。
 1階~3階のテナントからは年間5億円の賃貸収入、
 4階~40階のファミリー向け住居からは年間10億円の賃貸収入が見込まれる。
 この賃貸収入から考えると、この高層ビルAは200億円で売れると予想される。」
といった感じ。

次に、D社はきちんと倒産隔離した上でSPCであるW社を作る。
W社から見ると、この高層ビルAが出来上がったら200億円で売れるから、
土地Aと、上記のプランと、上記のプランを実行するための費用(建築費とか)を合せて
例えば180億円くらいで済めば、20億円の利益が出る。
つまり、D社が30億円で買った土地Aは、
上記プランがついたことによって110億円で売れることになる。
(W社からの最終的な売値200億円 – ビル建築費70億円 – W社の利益20億円 = W社が土地Aのために出せる代金110億円)

これを踏まえて、W社は出資者を募る。
宣伝文句は以下の通りである。

「土地Aを110億円で買って、70億円かけて高層ビルAを建てると、200億円で売れます。
 ウチ(X社自身)の運営費を年間1億円引いた後、残りの199億円を配当します。
 出資しませんか?」

そして、W社は土地Aと、上記プランをまとめた提案書を110億円で買う。

W社はその後、プラン通りに70億円かけて高層ビルAを建てる。

そして、第三者であるE社に200億円で売った。
その後、W社はW社自身の運営費1億円を差し引き、
出資者に199億円を配当し、解散した。

以上でおしまい。
各者にとってのメリットは、

・D社は、土地Aを30億円で買って110億円で売り、80億円の利益を得た。
 (SPCを使わなければ、建築費用が足りないので手が出なかったはずなのに。)
・W社への出資者は、180億円を出資して199億円貰えたので、19億円の利益を得た。
・W社の従業員は、W社の運営費用1億円から給料が貰えた。

なお、勘の良い方はわかると思うが、この仕組みは不動産だけではなく、
収益の望める事業プランなら何でも使える。

例えば、子供向けテレビアニメの「かいけつゾロリ」も、
このSPCの仕組みを使って製作をしている。
SPCを使って、「映画制作会社全体のリスク」を隔離し、
「かいけつゾロリがヒットするかどうか」だけを考えれば良い状況にしたわけである。

で、お勧め書籍はやっぱりコレ。
SPCの入門書にして奥が深い、素晴らしい本。

—追記—
SPCについては、下記2エントリも書いています。
SPCとはどんなものか (債権流動化)(ド素人向け)
SPCとはどんなものか その2 不動産証券化(ド素人向け)

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